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2013年1月23日 (水)

指揮者イタイ・タルガムのリーダー論

毎週月曜日夜にEテレで放送される「スーパープレゼンテーション」はいつ見ても興味深い。これはTEDトークからPICKUPしたものである。これまでにも何度か取り上げたが、今回は「優れたリーダー」についてプレゼンをした、イスラエルの指揮者イタイ・タルガムの「Lead Like The Great Conductor」を取り上げる。

 彼は優れたオーケストラ指揮者であると同時に、経営コンサルタントとしても世界各地の一流企業から呼ばれて活躍している。

 彼は実在したオーケストラ指揮者の指揮振りをビデオで見せて話を進める。

 最初に取り上げたのは、クライバーがウイーンフィルのニューイヤーコンサートでラデツキー行進曲を振った映像であった。ウイーンの謹厳な聴衆をリラックスさせ楽しく聴かせている。指揮者自身も楽しそうに指揮している。

 指揮者は、カオスから秩序を作り出すのであって、物語を作って行くのだという。演奏者だけでなく、楽器を作った人やホールを作った人など全てにそれぞれの物語があり、それが重なり合うのが醍醐味だという。

 次に紹介したのは、ムーティで、ドンジョバンニを指揮するところであった。彼の指揮は支配するやり方だという。身振りは大きく分かりやすい。明確だが威圧的だという。彼は作曲者モーツアルトに対して責任を持って振っていると説明した。

 ムーティはスカラ座の700名からついていけないと言われて指揮者を辞任したそうだ。一方的に使われるだけでは楽団員が成長できないと言われたのだ。イタイ・タルガムは「独裁的だったのが良くない」と評した。

 3番目はシュトラウスで、彼は30歳の時指揮者の10箇条を作ったが、その1は「汗をかくのはダメ」 その4は「トロンボーン奏者を見るな」であった。どういうことかというと「干渉しないのが一番いい」ということなのだそうだ。

 楽譜通りに演奏せよとか、解釈をすることも支配的なやり方になると話した。

 次は、カラヤンの映像が紹介された。手を柔らかく動かし目を閉じて指揮をしている。TEDの会場でイタイ・タルガムは実際にムーティ流の振り方とカラヤン流の振り方で「拍手」をさせたが、カラヤン流では拍手はバラバラになった。ベルリンフィルのメンバーでも分かり難いそうだ。

 カラヤンは「オーケストラに明確な指示をするのはよくない。お互いの音を聴くという大切なことを忘れるから」と考えていた。カラヤンの頭の中を想像して演奏しろということだが、精神的な支配になるという。

 ここでもう一度クライバーの映像を出した。そして、クライバーは指示をしていない。自由な余地を残している。指示がなくても自分がすることが分かっているのだ。楽団員は演奏に参加して創り上げて行っている。一番いいやり方だという。

 指揮者のクライバーは、楽団員が自分なりの表現をできる空気をつくっている。そうすることで自由に、楽しく、自信を持って演奏できる。支配、被支配ではなく、共同で最高のものを作るということだ。共同作業に内容が加われば意味が生まれるのだ。

 最後は、イタイ・タルガムの恩師であるバーンスタインの映像であった。彼はいつも意味を中心に考えていたという。音楽がバーンスタインの表情に現れている。演奏者が語り手となってそこにいる者みなが物語に聞き入るのだ。

 今日の話を総合すれば”動かず”に”動かす”ことができるのだと結論ずけた。

 秘蔵のものといって見せた最後の映像は、バーンスタインが顔の表情だけで指揮をしているもので大変驚いた。

 伊藤譲氏のまとめは、これからのリーダーは中央管理型からボトムアップ型に向かうべきであろうということであった。

 独裁型のリーダーは政治の世界だけでなく企業においてもその他の社会においても民主主義とは相いれないものだ。やはり構成員の自由な発想があり、衆知を集めてともに作り上げて行くというリーダーシップが望ましい。

                    ―H.S.ー

http://www.ted.com/talks/lang/ja/itay_talgam_lead_like_the_great_conductors.html

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