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2013年8月 7日 (水)

古い手品の本から―①―

 知人が身辺整理をするというので古い手品の本をくれた。2冊になっていて、「手品」という本と「トランプ手品」という本である。どちらもしっかりとした造りの本だ。著者は、安部元章(ペンネーム)氏である。安部氏は元東京アマチュアマジシャンズクラブの会員であった。明治40年生まれだから私の父と同い年だ。

 この2冊の本は、序文によると、昭和28年8月にN・T・V(日本テレビ)が開局してすぐに企画された「テレビ手品教室」という番組で放送したものをまとめたものである。出版は昭和31年5月(1956年)である。

 昭和28年(1953年)は今から60年前のことだ。その頃民間テレビが開局したのだ。私はまだ高校生で、家には古い4球式のラジオがあるだけであった。田舎だからテレビの電波は届いていなかったはずだ。

 そんな時代に、健全な娯楽として、手品番組を連続的に放送するという企画があったのだ。その番組の講師を安部元章氏が務めたのである。

 毎週初歩的な手品を解説して放送した。非常に好評で視聴率も高かったそうで、2年余り続いたという。局内でも多くの手品ファンができたようだ。

 この本の序文を書いたのはN・T・V編成局長の久住悌三氏である。その一部には次のように書いてある。

 「今まで私は手品というものは下品とまでは思っていなかったが、さりとて上品な芸だとも思ってはいなかった。子どもの時分から手品というものは不思議なものだ、面白いものだと思って好きで見ていたが、自分でやってみようと思ったことはなかった。ところが安部君の放送を毎週見ているうちに、だんだんと手品というものは上品なものだと思うようになり、「テレビ手品教室」の視聴率の高い理由もわかった。」

 手品は寄席では色物に分類される。落語などよりちょっと低く見られているように思うのだがどうであろうか。上品、下品という表現にはそんな気持ちが含まれているように感じる。

 ともあれ、手品を低く見ていてのが、そうでなくて立派な芸能であると見るようになったというのが興味深い。

 この番組を見ることができたのは全国でどのくらいの人たちであろうか。テレビが街頭テレビとかごく一部の金持ちの家にしかなかった時代であるから、視聴率が高いとは言ってもごく限られていたであろう。

 生放送の時代だから、手品は格好の材料ではなかったかと思われる。

                  ―つづく―

 

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